BizProfile

ビジネス書の知識は使えない。自己啓発本の域はでないと心得えよ

サムネイル画像

ビジネスにおいて一発逆転はない。と私は思います。実態として、そういったケースがあることは否定しませんが、それは運がよかっただけなのだと。しかし、社会人経験十数年の中堅以上のサラリーマンの中には、そういったことを理解していない人もいるのです。

実体験。30代半ばの夢見る上司

私の実体験です。私は一時期Web制作会社で働いていまして、その時の上司が夢見る少年だったわけです。基本的には優秀な人でした。クライアントからの依頼は120点でかえせる人だったようで、クライアントからの信頼も厚く、学ぶべき点は多くありました。しかし「事業を創る」という点においては、ただの夢見少年だったのです。

当時、インバウンドという「必ず波が来るビジネスチャンス(のような魔法の言葉)」をよく耳にするなぁー、と感じだしたころ、私たちはその上司を中心に新規事業の立ち上げをミッションとして日々頭を抱えていたのです。

そこで上司が出した答えが、その流行りに乗った「訪日外国人向けの日本紹介メディア」だったのです。それまでしてきた仕事とは何の関連性もありません。共通点はWebサイト制作ということのみだったわけです。

まぁ小さい会社でしたし、そういった勢いで決めるのもありでしょう。しかし、そのメディアには戦略もなにもなく、なんとなくでプロジェクトが進んでいくのです。

記事を書けば人が集まる。人が集まれば金が生まれる。という幻想。

当時の上司曰く、ロジックはこうです。「記事を書けば、人が集まる。人が集まれば、マネタイズはなんとでもなる。人が集まるメディアはお金を生む」というものでした。

クライアントの受注制作の領域では百戦錬磨の上司です。もっともらしい説明で、私たちにそう説明をしました。

英語圏の外国人をターゲットにしていましたから、当然英語で記事を書く必要があります。なので、まず英語で執筆できる人材を二人雇いました。

二人は週に1本くらいのペースで記事を書きました。しかし、記事へのアクセスは増えません。なぜ増えないかもわからないまま、半年くらい記事をアップし続けました。しかし、記事へのアクセスは増えません。

そうです。記事を書けば人が集まる。は幻想なのです。また当然、人が集まっても、それだけではお金は生みませんね。それほどマネタイズというものは難しいのです。

なにが伝えたいのかというと、結構むちゃくちゃなロジックでそれっぽいことをいう人がいるので、注意しておきましょう。ということ。しかもその人が一定以上の社会的評価を受けているので難しいところです。

自分が絶対的に正しいとは、全く思いませんが、「お金を儲ける」というのは、簡単なことではないのです。それを簡単そうに話す人は、どこか大切で、重要な何かをすっぽり抜けて話をしている可能性が高いのです。

ちなみにそのメディアが、今どうなったかは知りません。私はその会社を(別の理由で)辞めてしまったので。

ビジネス書の成功体験は著者だけのもの。倣って成功できるはずない

ちなみにその上司は、非常に読書家でした。ビジネス書も多く愛読しており、いろんな事業の成功談やら失敗談をノウハウとして蓄積していました。しかし、それらはただの結果でしたかないのです。

同じことを、同じようにすることは不可能です。ビジネスには複合的な要因が絡み合って結果となります。

自己啓発本的なビジネス書には、「ただ、やればいい(大半の人はしていないから)」「どうして行動しないのか?」「私は○○をして、こうなった(成功した)。だからみんなにもできる」というような言葉が並んでいる印象が強いのですが、それは結果論です。その著者とあなたは全くの別人です。だから同じことをしても同じ結果にはならないのです。

ダルビッシュが投げるキレキレのスライダーは、ダルビッシュにしか投げられないのです。どんなに細かくスライダーの投げ方を説明している参考書を読んだところで、ダルビッシュのスライダーを投げることは不可能なのです。その理由は、体格だったり、筋肉だったり、いろんな違いがあるからに他なりません。

ビジネス書を読みあさって、知識を詰め込んでいる”だけの”人はもっと実戦経験をつんで体格改造やら筋肉増強に精を出すべきなのではないか、と感じました。

そして大した(その道での)成功体験も持っていないのに、その道の成功の方式たるものを知っているかのように振る舞う人には要注意です。

「他社や他者の事例が全く役にたたない」と思っているわけではありません。積極的に他社(他者)事例は知っておくべきでしょう。しかしそれは、決して必勝法ではない、ということだけ念頭に置いておく必要があるよね、という考え方です。

関連タグ

Topビジネス > ビジネス書の知識は使えない。自己啓発本の域はでないと心得えよ